色々な道を楽しめて感無量だった横岳(八ヶ岳)縦走
僕も妻も意外と鎖場チックな山が好きなものですから、今回は横岳縦走にチャレンジしてきました。
昨年赤岳に登っていて、コースも多少重複します。楽しいコースでした。そこに縦走部分が入るのですから、楽しみにしていたのですが、樹林帯、涸れ沢、急登、鎖場、階段、痩せ尾根、トラバース、散歩道、林道と予想どおりというか予想以上に登山の楽しさをぎゅっと味わえた気がします。
- 今回のコース
- 美濃戸の駐車場
- 樹林帯と涸れ沢歩き(美濃戸~行者小屋)
- 地蔵尾根の急登(行者小屋~地蔵の頭)
- 稜線の急登、鎖場(地蔵の頭~横岳)
- 横岳直下の下り(横岳~硫黄岳山荘)
- ガレ場歩き(硫黄岳山荘~硫黄岳)
- 整備された登山道の下り(硫黄岳~赤岳鉱泉)
- ハイキングチックな癒やしの道(赤岳鉱泉~美濃戸)
- まとめ
今回のコース
今回のコースは、美濃戸から南沢ルートを経て行者小屋。行者小屋から地蔵尾根を登って地蔵の頭へ。そこから横岳、硫黄岳を経て赤岩の頭を通って赤岳鉱泉へ。北沢ルートから美濃戸へ戻る、というもの。
歩行距離は13km、累積標高は1,200mと、僕にとっては無理なく歩いてギリ日帰りで行けるって計画です。途中山小屋もいくつかありますので、不測の事態が起きても対応可能と判断しました。
美濃戸の駐車場
本当は10月7日から続く3連休の初日の7日に行く予定でしたが、残念ながら天気が悪かったので、8日に行くことにしました。秋の行楽シーズンの3連休でちょうど標高2,000m台で紅葉が見頃という時期ですが、今回も赤岳山荘の駐車場に停めればいいや、と軽く思って美濃戸口を通過し、「去年より道が悪いなあ」と部分部分超低速で林道を走り、午前2時前に到着しました。
ところが…
普通の人が見れば明らかに満車状態。「えー!」と思って少しもどってやまのこ村駐車場を確認したらこっちも満車。何とかやまのこ村の山小屋付近にロープで仕切られた道沿いの駐車スペースを発見できたので、そこに停めました。ライトさまさまでした。
それ以降も結構車が登ってきてました。その騒音のため睡眠はあまりできませんでした。不思議なのは、登ってきても下りていかないんですよね。一体どこに停めたんでしょうか。
少しでも寝なくちゃと思いうつらうつらしつつ、寝過ごした訳ですが、目が覚めてみると、大渋滞が。。!
朝の5時になり、小屋の係の方が駐車スペースを無理にでも見つけて指示していました。驚いたことに、全部の車が収まっていましたよ。
樹林帯と涸れ沢歩き(美濃戸~行者小屋)
5:30 出発
美濃戸からは南沢ルートを歩いて行者小屋を目指します。この南沢ルートは、ブログや紹介記事を読むと「樹林帯を緩やかに登って行くと間もなく行者小屋に到着する」なんてすごく楽そうに書いてあるのが多いと思うんですが、結構しんどいというか面倒な道だと僕は思っています。
だって3.7km、2時間半歩いて650m近く標高を上げるんですよ。先日行った越前岳で2.7km歩いて590mですからそれよりほんの少し緩いくらい。なので知らない人は、里山1つ登るくらいは十分あると思った方がいいと思うんですけど。
樹林帯を普通に登山のように登って行く、そんな南沢ルートも涸れ沢に出て少し行くと、高度が上がっているため、眺望が出てきます。横岳が前方に、後方には南アルプスが見えます。そして、斜面がなだらかになります。
こうなったら、行者小屋まであと一息、といってもいい感じです。
行者小屋に到着する少し前に太陽が顔を出し、谷にも遅い夜明けが来ました。
8:00 行者小屋到着
いつものように行者小屋は人が多いです。ここで朝食のおにぎりを食します。
冷え込んでいたので、ポットに入れてきた熱湯が美味しかった。
阿弥陀岳~硫黄岳に囲まれて、相変わらず、ここは八ヶ岳の懐にいるって感じがする場所です。
行者小屋からは地蔵尾根を登ります。地蔵尾根は、歩きにくいことはないけれど、それなりに急登で、上部に行くとハシゴや鎖が出てきます。ただ、印象的には文三郎尾根の方が楽しい気がしました。
地蔵尾根の急登(行者小屋~地蔵の頭)
8:40 行者小屋出発
樹林帯はこうした山道が続きます。一部急登あり、滑りやすい場所もありました。
森林限界に差し掛かってくると、周囲がの眺望が出てくるとともにハシゴの登場となります。単管パイプで組まれていますので、朝はとっても手すりが冷たい。
ハアハアしながらハシゴを登りきると、またひとつ眺望がよくなっている、八ヶ岳ってそういうところが結構ある。
北アルプスも遠く雲海の上に。
そして、いよいよ地蔵尾根も鎖が出てきます。
そして何本かある鎖を登っているとお地蔵さん第1号が。
山行の無事を祈って一礼し、登り続けます。ここから地蔵の頭まではすぐです。
9:40 地蔵尾根到着
ようやく着きました。尾根筋は気持がいい!
そしてここから見る赤岳がまた、いいのですよね。
おっと左側から雲が湧き出てきました。今日はずっと好天のはずなんですが。
赤岳も素晴らしいけど、今日は反対側の横岳に向かうのです。
稜線の急登、鎖場(地蔵の頭~横岳)
9:50 地蔵尾根出発
こちらが横岳方面。切り立った岩峰は日の岳になるのかな、よく分かりません。
二十三夜峰手前からヘルメットを着けました。
日の岳?の根元にある小槍のような岩が二十三夜峰です。
こちらで少し休憩を取りました。
二十三夜峰から見る赤岳もまた素晴らしいです。ここから赤く染まった赤岳を見てみたい。
さて、日の岳?は頂上は巻いて登って行きます。この縦走ルートはいくつものピークを越えていくんですが、ピーク自体は巻いていくことが多い道になっています。
日の岳を巻くと急にガスってきました。
ガスガスの中鎖場を行きます。ここは足下が滑りやすかった。そのため鎖を握りたくなるのですが、下を見ると一時に皆取り付いていたので、なるべく鎖を握らないように登らざるを得ませんでした。
鎖場やハシゴは何度も出てきます。
道幅があるので怖くないですが、もし落ちたら生きては帰れそうもないようなトラバース路などもありました。
そしてまた急登。楽しいですが、結構体力を削られていくようです。
奥のピークが横岳のピークです。ここまで結構ありました。
手前のピーク、三叉峰です。ガスって視界なしなのでそのままスルー。
横岳ピークへ。
11:30 横岳到着
そしてようやく横岳(奥の院)ピーク到着です。結構人で賑わっていました。
横岳直下の下り(横岳~硫黄岳山荘)
さて、ここから硫黄岳山荘までは下りの一手になりますが、特に最初は鎖場のある急な下りです。
途中、一人しか渡れない狭いハシゴの下が小さな踊り場になっていて、そこから先はすれ違いができない狭いトラバース路、という箇所がありました。狭いハシゴから踊り場に下りてくる人が多く、また、トラバース路から踊り場方向に来る人も結構いたりして踊り場に人が滞留し気味に。
そのため、片側交互通行をして踊り場の滞留を解消しないとにっちもさっちもいかなくなってしまい、見知らぬ人同士でしたがみんなで声を掛け合って行きました。(それでも空気を読めずに、前からの人を待っているのに後から来て行こうとする人が数名いましたね。)
横岳直下のアスレチックも思ったよりすぐ終わってしまい、後は本当になだらかな斜面を硫黄岳山荘に向かって歩いて行きます。
途中、大同心のルンゼを登攀している人を見ましたが、すごかったです。もっと若かったらやってみたかったかも。
台座の頭では、のんびりお昼をしているグループがありました。ほっこりする雰囲気を感じましたが、今回の横岳って、皆さん登りのときは苦しそうでも、それでもいい顔をされていたような気がします。挨拶にも笑顔での返答率が高かったような気がする。
硫黄岳山荘が見えてきました。早く昼ご飯食べたい。今回は小屋食なのです。
12:15 硫黄岳山荘到着
硫黄岳山荘は、見た目ちょっとぼろっちいけど、中は結構綺麗でしっかりしたものです。山小屋では驚異の合併浄化槽付きの水洗トイレ(ウォシュレット付き)とか、温水シャワーとか、こんな山の中の稜線にぽつんとある山小屋では考えられないほど、高品質ぶりです。
カレーライスをいただきましたが、美味しかったですよ。ペットボトルの水とアクエリアスを買って水分補給もしました。
ただ、ここまでの厳しい上り下りのため、ストレッチをしようとしたら僕の足の筋肉の複数箇所が一気に悲鳴をあげて(攣って)しまいました。(情けない。。)
これからは下りが主だし、何とかだましだましでも歩けるでしょ!ということで、出発。でも、外に出てみるとすぐに硫黄岳への登りが待っているし、あの斜面が何だかイヤ。
ガレ場歩き(硫黄岳山荘~硫黄岳)
13:10 硫黄岳山荘出発
ただ、いざ登りだしてみると、それほど面倒でも長くもなく、硫黄岳らしいケルンなんかもあったりして、今となっては楽しい登り。
ただ、前回と同じく、ガスがかかっているんですよねえ。今日は晴れのはずなのに。晴れていたら硫黄岳から歩いてきた稜線が全部見られるはずなのに。
13:40 硫黄岳山頂
硫黄岳山頂なですが。人がいっぱいいますが。ガスって何も見えない。。
爆裂火口もこの程度で。
主稜線の景色はこれが限界でした。少し待ってみたんですけどね。
仕方がないので、赤岩の頭へ下りることにしました。
13:50 硫黄岳出発
整備された登山道の下り(硫黄岳~赤岳鉱泉)
ここも初めて歩くルートなので、若干不安でしたが、よく整備されていてそれほど急でもないし、歩きやすい道でした。足の負担も軽めだったようです。
途中にあった大きめなケルン。この場所が何かは分からずじまいでした。
赤石の頭に到着。想像と違って平坦で広いところでした。地面が白くて、鳳凰三山ってこんな感じなのかなーって思いました。
ここまでは稜線を下りてきたので、今日歩いてきた八ヶ岳主稜線を(晴れていれば)眺めることができたのですが、ここから先は樹林帯に入ります。
樹林帯に入っても斜度は急ではなく、整備された歩きやすい道が続きます。長いですけど。途中、何度目かの靴紐の締め直しを。そうしないと、つま先が当たって痛いのです。今日は岩場の縦走だからと思ってトランゴS・EVOを履いてきたのですが、ちょっと厳しいなあ。。
高度が下がるごとに、八ヶ岳らしい苔が周囲の風景を覆うようになります。中には、こんな芋虫みたいな苔も。ふっくらもっこりしています。
そして更に高度を下げ来ると、紅葉している木もちらほら出てきます。
基本的にこの辺は紅葉する木は少ないようですね。
前回赤岳に行ったときに、帰りに寄った赤岳鉱泉で食べたパスタの味が忘れられず、今回も絶対食べるんだ!と心に決めていたので、早く赤岳鉱泉に着きたいのですが、なかなか疲労で足が前に進みません。
それでもようやく赤岳鉱泉が見えたときは、「着いた!」というより「帰ってきたあー」という感じでした。
15:25 赤岳鉱泉到着
この道だと赤岳鉱泉の看板の真ん前に飛び出るんですね。
しかし、、、残念ながらお食事はもうほとんど売り切れとのことで。
パスタは食べられませんでした。ほんとがっくりでした。また次に来たときには絶対食べたい。
で、仕方ないのでカップヌードルを買って食べました。(なんか疲れた顔してますね。苦笑)
ペットボトルの水を買って最後の水分補給をして、美濃戸にもどります。
16:00 赤岳鉱泉出発
ハイキングチックな癒やしの道(赤岳鉱泉~美濃戸)
いつか泊まりたい赤岳鉱泉。食事もいいそうだし、お風呂もあるようだし。右側の枠組足場はアイスキャンディ用でしょうね。
さて、赤岳鉱泉から美濃戸までの道は「北沢ルート」と言いますが、この北沢ルートの下りは僕は大好きなのです。
何が好きかって言うと、語彙不足で表現しにくいのですが、雰囲気が大好きなのです。
鉄分が多くて石が真っ赤になっている川
昔子供の頃遊んだ多摩川の土手に生えていたような雑草と木漏れ日
森の中に入れば「閑か」という漢字がぴったりくるような静寂の中の風の音、そして苔の世界
こういう道って他にも多分いっぱいあるんでしょうけど、僕の心の琴線にはドはまりするいい感じなわけです。
まあ、何より、道が楽なのが一番よかったりします。(あくまでも下りです。登りでは使ったことがないです。もし登ったら真綿で首を絞めるようなしんどい道なのかもしれません。)
堰堤広場に着くと、そこから先は車も通れる林道になります。
林道なので一層斜度は緩やかになり、足下もいいのですが、その分長く感じます。
でも、この林道の周りもやっぱり苔の世界が広がっていて、本当は、もっとゆっくり歩いてじっくり見ていたい。
とは言え、夕暮れ時が近づいて来ていたので、歩を早めざるを得ません。それでも最後は暗くなってしまってヘッデン点けて歩くようなってしまいました。
美濃戸についたときには、陽も落ちてしまっていましたので、車で荷物整理をするには、ヘッデンが再度大活躍しました。
17:40 やまのこ村到着
まとめ
今回の横岳は、ほんとに登山道のバリエーションが多くて楽しめました。単調だったら耐えられなかったかもしれない。
普通の樹林帯の登り、枯れ沢の登り、階段、鎖場、稜線歩き、トラバース路、岩肌の急登、長い緩斜路、ハイキングチックな道、どれも楽しめました。
八ヶ岳をホームグラウンドのように思う人って多いと思うんですけど、僕もそのうちの一人です。それほど多く来ているわけではないのですが、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳、縞枯山、北横岳、蓼科山と登れました。
今回の山行は、結果的に歩行距離15.4km、累積標高1,324m、12時間を超える山行時間でした。僕は体力的にも、日帰りでは歩行は8km以内、高低差は1,000m未満を目途にしているのですが、それを大きく上回るもの。へっちゃらで僕よりもっと早く登って下りる人もいっぱいいるので、もう少し頑張りたいですが、これ以上早く歩くと景色を楽しんだり、山に癒やされたり、写真を撮れなくなりそうなので、ま、マイペースが一番かと思っています。