forestline’s blog

山にはまったダイバーのブログです。

2019年 15座目赤岳

2019年10月5日、職場の仲間のHさんとSさんの3人で八ヶ岳の主峰、赤岳に登ってきました。私は2回目ですが、他のメンバーは初登頂チャレンジです。

 

プロローグ

コースについて

赤岳単独で登る場合のコースとしては、①地蔵尾根から登る、②文三郎尾根から登る、③県界尾根から登る、④真教寺尾根から登る、という4つの選択肢があると思いますが、アクセスが車であること、赤岳鉱泉に寄ってパスタを食べたいこと、ということから、①か②の選択肢しかありません。

個人的には、地蔵尾根は下りで使った方が楽だと思うし、地蔵尾根から主稜尾根に出てからの急登がイヤなので、赤岳に登るときは文三郎尾根一択です。

 

装備について

装備ですが、この日は1日晴れで山頂の最高気温が8度くらい、風もそれほどないというという絶好のコンディション予報でした。それを踏まえて、フリースやダウンなどの防寒装備は省き、実際に着用したのは以下+ブラックダイアモンドのストームというヘッドランプになりました。槍のときと比べると軽い♪

 

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ザックに入れていったのは、上に加えてサーモスに水600cc、ペット水500cc、粉ポカリ、常備のレインウェアの上下、応急セット、簡易トイレ、救急セット、コンパス、地図くらいだったように思います。水が少ないのは行者小屋、頂上山荘、眺望荘、赤岳鉱泉で補給できるからです。

 

自宅~やまのこ村

 やまのこ村のトイレが綺麗なので、最近の美濃戸ではやまのこ村の駐車場を利用しています。

予約も取れるのですが、早めに行って車中泊をすれば予約も要らないだろうということで、自宅を20時に出発、美濃戸口には23時頃に到着しました。前回美濃戸林道を走ったときは、6月だったのでまだ雪解け後の路面整備が終わっていないと思われる荒れようでした。今回はそれよりはおとなしくなっているかと思いきや、フォレスターのフロントバンパーを地面にぶつけるくらいの段差がありました(ゆっくり行けば良かった。。)。壊れなくてよかった。

やまのこ村には、23時30分頃到着しました。駐車場は思ったより埋まっていて、平坦地のスペースは1台分しかありませんでした。打ち合わせどおりささっと車内泊の準備を済ませて就寝。星がたくさん出ていてました。

翌朝は5時に集金が来るので、4時半にアラームをセットしたのですが、誰も起きず(笑)、5時過ぎにそばの車の警報(操作誤りの誤動作らしい)が鳴り響いたことで目を覚ましました。

その後集金が来たので支払いを済ませ、朝食を取り、トイレを済ませてから用意をし、出発。

6時を過ぎていました。

 

やまのこ村~行者小屋

 

 

夜明け前に出発するつもりだったんですが、すっかり明るいw

美濃戸山荘を通り過ぎていきます。

 

美濃戸山荘を過ぎて、北沢、南沢各ルートの分岐に。有名な八ヶ岳看板にて記念写真です。

 

基本、私が先頭を歩いてペースを作っていきます。苔が綺麗な南沢ルートですが、まだ陽が差していないので若干暗めでした。地面は昨日の雨の影響か、ややぬかるんでいて、思ったより石の上も滑りました。「あれ、靴のソールに何かついているのか?」と思うくらい。

 

ホテイランの群生地だったところ。もちろんホテイランはもう咲いていませんが、まだ看板が残されていました。

 

道中、少しの時間ですが、休憩を挟んでいきます。

 

いつもの祠。何の祠かは未だに分かっていません。。

 

時折生えている紅葉が赤くなっていました。季節を感じられてうれしいものですね。

 

南沢ルートも何度も橋を渡る場面があります。

今回はいつもより登りがきつくて太腿に乳酸が溜まります。おかしいなぁ。

橋自体はしっかり出来ており、橋に至る前後に石を金網でくるんだ階段が置かれています。が、この金網が濡れているとめちゃくちゃ滑るんです。私たちの目の前で女性の単独行の方が、すぐに起き上がれないくらいの大転倒をしてしまっていました。すぐにかけよって声をかけたのですが、特に怪我もなくて良かったです。無事に歩いて行かれました。 

 

そうこうしているうちに、やっと涸れ沢に出ました。ここでは、前方に横岳が姿を現すビューポイントです。紅葉の前で撮影。

すると、「本当のルートと違うところを来たね」と知らないおじさんに言われてしまいました。去年の台風でルートが変わっていたようです。

 

これが横岳です。

 

涸れ沢を進むと右手の森林地帯を進むことになります。苔が綺麗です。これだけ苔がむすまで、何年の月日が流れたのだろう、、と思いを馳せます。

 

再び涸れ沢に戻ると、間もなく行者小屋への案内板があります。もうすぐ行者小屋ですね。

 

行者小屋到着。9時を回っており、3時間かかってしまいました。だいぶゆっくりなペースを作ってしまったようですが、疲れちゃったので仕方ないのだ。

 

頼むと気軽に乗ってくれる人たち。

残念ながらカモシーの「山なめんなよ」Tシャツは売り切れだったようです。

 

 

行者小屋~赤岳山頂 

行者小屋からアクションカムをヘルメットに装着したせいか、写真より動画がメインになってしまいました。意識しないとどっちかに偏ってしまいます。

そう言えば、自己顕示欲と承認欲求が非常に高く、しかも声の大きなおじさんがいるパーティがいまして。そのおじさん道中ずっと自己主張を続けているのでややウザい。。その後結構長らくこのおじさんPTが周りにいることになってしまいます。

 

文三郎尾根は、金属製の階段が多い尾根です。基本的に木階段は嫌いですがステップ高さの合っている金属製の階段は好きな方でした。ですが、この日はその階段でさえ、結構きつかったし、マムート印の木階段もかなり足に来ちゃいました。調子が悪かったのかな、、前回はほいほい登った記憶があるのですが。

 

 

何度も長い階段を昇り終え、見上げると稜線に小さく指導標がありました。ここが「文三郎尾根分岐」です。この分岐まで行けば後は楽しい鎖場ステージになります。しかし、ここまでがきつかったなぁ。

 

ちょこちょこ、景色のいいところで止まって景色を見るという理由付けをしながら息を整えていました。

 

 

そしてやっとのことで文三郎尾根分岐に到着です。前回は比較的楽に登れた気がするのになー。でも、経験上辛かったことは忘れる傾向にあるので、前回も辛かったのかもしれません(笑)

 

 

 

それにしても天気はすごく良かった。

 

横岳、硫黄岳、天狗岳、北横岳、蓼科山まで見渡せます。

 

 

中岳山頂には人が見えます。あそこから見える赤岳はどんな姿なのだろう。

 

 

文三郎尾根分岐で休憩をたっぷり取った後は、楽しい鎖場ステージへと向かいます。とは言え、足場や手がかりがしっかりしていて、鎖を握る場面はほとんどありませんが。

この鎖場ステージは登山道がせまいため、下りの登山者がいると双方渋滞します。この日も例に漏れず、かなり渋滞をしつつ登ることを強いられました。

 

Hさんは高所が実は苦手ということですが、なかなかしっかり登っているようです。Sさんは運動神経がいいせいか、身軽に登っています。

 

Sさんが安定して登れているので順番を変更して、Sさん、Hさん、私で登ります。

 

竜頭峰分岐に到着。あともう少しです。

 

恐らく左が切れ落ちた狭いこういう道が、Hさんは苦手なんだと思う、、が頑張って登ってます。(渋滞で止まっているときはSさんを掴んでましたが。)

 

 

山頂直下の平坦部。富士山が見えたので、そのポーズを取っているのかな?

 

これがその時の富士山です。あの方角に家があるんだなぁ。

 

さあ最後のハシゴです。Sさんは登り終えてます。

この階段を昇り終えると、赤岳山頂です。文三郎尾根ルートだと赤岳山頂に直接飛び出るので、気分的に楽だと思います。

 

はい、山頂に着きました。12時20分でした。行者小屋から2時間ちょっとかかりました。休憩が多かったというより渋滞が響きましたね。

でも、Hさん、Sさん、登頂おめでとう!よく頑張りました。

この写真を撮るまでにだいぶ待たされましたが…。6人くらいいるPTで全体写真の後、1人ずつ撮ってましたねぇ。。

後の順番の方、写真を撮っていただきまして、ありがとうございました。

 

赤岳山頂から見る富士山。

 

 

 ちなみに、東に広がる清里もよく見えました。

 

 

それにしてもいい天気。風もなくずっと止まっていなければ寒くもありません。そういう土曜日だからでしょう、山頂は激混みなので、そそくさと赤岳頂上山荘へ向かいます。

 

赤岳山頂~赤岳鉱泉

 

 

頂上山荘着。HさんとSさんはバッジを買っていました。バッジは頂上で買いたかったらしい。

 

 

昼食は天望荘で食べることになったので、さっさと行きましょう。お腹空いたよ。。

しかし、道中、細いリッジのような場所があるんですよね。そのため、苦手なHさんには、手を貸して歩く場所を指示しながら、何とか通過。Sさんは一人で難なく通過。

リッジの後の急登も、Hさん、Sさんはマイペースで降りられました。

 

途中、上方の下山者が浮き石を落したりして、一瞬ヒヤリとしました。大きさは20cm程度でしたが、途中で止まらず私の目の前を通り過ぎて行きましたが、下にも登山者がいます。「ラーク!!」と叫んだのは久しぶりです。

石は誰にもぶつかることなく、下方で止まったようです。よかった。

 

さて、何とか天望荘に到着しました。

ちょっと遅くなりましたが、ここでお昼にしましょう。

 

時間は13時30分。どうやら、赤岳鉱泉でパスタを食べるには時間が間に合わないようです。ちゃんとここで食べましょう。

ということで、私はラーメン。

 

Sさんはおそば。

 

Hさんはカレーライスを食べました。カレーのお味は、安定の「ボン」だったようです(笑)。

何だかみんな結局軽食でしたね。それにしても、どの容器も使い捨てなんですね。初めてだ。小屋によって色々あるものです。

 

さて、地蔵尾根に向かいますか~。

天望荘から地蔵尾根に向かう道筋にも、ちょこっとしたリッジがありますので、注意して進みます。

そして、地蔵ノ頭に到着。いつものように、手を合わせました。

 

HさんとSさんも手を合わせてました。下山の無事を祈っているのでしょうか、、。

 

地蔵ノ頭から見える赤岳は、何度見てもカッコイイ。さよなら、赤岳。また来るよ。Hさん、Sさんは、「あそこから降りてきたんだね、、」と感慨深げ。

地蔵尾根は文三郎尾根よりも鎖を使う場面が多いです。とは言え、勾配はそれほど急ではないため、鎖を使えばとても降りやすいと思います。

 

いつも「第一の地蔵」と読んでいるお地蔵さん。降り始めて間もなくあります。

 

現場でありそうな階段ですが、若干へっぴり気味ですねぇ(笑)

私たちの後から降りてくるPTが、地蔵尾根で2回落石させていました。1回目は仕方ないにしても2回目は、、、。足を置く場所はもう少し気を遣っていただきたい…。

赤岳には、このような石を金網でくるんで階段にしているものが、散見されます。普通のときならありがたいのですが、濡れているとめちゃくちゃ滑るので注意して下さい。

また、最後の階段を過ぎた当たりで、団体PTが停滞していたのですが、どうもお一人怪我をされたようでした。両足を捻挫してしまったようでした。痛そうに座り込んでいたし、時間も時間ですし、ここから登るとすると天望荘までそこそこあるわけだし、天望荘に泊まるにせよ登ったら降りないといけないわけだし、当然その要救護者だけ下ろすのだろうと思い込み、ザックを持ってあげるくらいの手伝いはできるかと、無線で誰かと連絡を取り合っていたガイドさんらしい人に「何か手伝いましょうか?」と声をかけました。しかし、そのガイドさんからは「あ、いえ、登るんで。」とさらっと断られました。え?とは思いましたが、私よりも数十倍ベテランな方の判断なので、問題ないのだろうな、と思いそのまま降り続けました。

 

そうして行者小屋に到着しました。15時です。

私はここで水を汲んでポカリを溶かして飲み水を補充し、行動食のパンとゼリーを食べました。

 

行者小屋から中山乗越までは、木階段が少しの間続きます。ここの木階段にもマムート印が入っています。

ということで、中山乗越。ここを森の方に進むと展望台があり、なかなかのビューポイントがあります(行ったことないけど)。

 

中山乗越から先は基本下りです。道中綺麗なところがあったので、写真を。現像しようかと思ったのだけど、面倒になってしまい撮って出しです(ごめんw)。

 

で、歩き続けて16時。赤岳鉱泉に到着しました。当然パスタはもうやっておらず、アイスとコーヒーを頼みます。2人とも赤岳鉱泉の雰囲気を気に入ったらしく、「今度はここに泊まりで来たい」と言っていました。

 

16時40分、赤岳鉱泉出発。やまのこ村につくまでに日没となることは明白だったので、ヘッデンの用意をしてもらいました。

さて、私の大好きな北沢ルート、歩いて行きましょう!

しかし、この大好きなルートにこの旅最大の試練が私に襲いかかってくることを、この時は知るよしもなかったのです。

 

赤岳鉱泉~やまのこ村

 

段々雲も出てきて、当たりが暗いですが、きれいに紅葉している木発見。惜しむらくは、こう言う木は単発で生えているんですよね。群生していたら見事だと思うのですが、これが自然なんでしょうね。

 

遠くにプチ群生。見事ではないけれど、綺麗です。

 

いつもより赤い、北沢の川。水は透明なんですけどね。

 

川沿いに作られた歩道。流れる前は鉄製でしたし、もっと多かった気が。

 

川をスローシャッターで撮ってみる。

とにかく、暗くなる前に、堰堤広場に着きたいと思っていました。堰堤広場から先は林道なので、道を間違える心配はかなり減るからです。

 

実際は、堰堤広場に着く15分くらい前からヘッデンを点けました。一回道を間違えそうにもなりました。登山道が変更していると、混乱してしまいますね。

また、この頃、お腹がもようしてきてしまいました。

何だろ、下山のこんな時間に、、、。まだまだ先は長いぞ、、大丈夫か、俺。

 

堰堤広場にやっと到着。時間は17時50分。この日の日没が17時20分頃だったと思うので、当然暗いです。ここから林道歩きです。おなかがやばいです。

 

辺りはもう真っ暗。本当なら周囲の原生林と苔の世界も見て欲しかったのですが、ヘッデンが照らす箇所以外は真の闇です。残念だ。

しかし、そんなこと言ってられないくらいお腹がやばいやばいやばい。既に先ほどセカンドウェーブを耐えたところだ。サードウェーブが来たときに俺は耐えられるだろうか?!

 

そうしてやっと、南沢との分岐、八ヶ岳の看板があるところまで戻ってきました。やったー!おつかれー!2人とも本当によく頑張りました。

時間は18時30分です。計画より1時間半も遅れてしまった。別にアクシデントがあったわけではないのに。この時期の人気のある山の計画は、渋滞を考慮してもう少しコースタイムを長めに取った方がいい、ということを学習しました。

 

結局この旅では、遅くなりすぎてJ&Bでの食事もなし、温泉もなしで、家のある県内に入ってからDADAというイタリアンで夕食を取り、そのまま帰宅しました。おつかれさまでしたー!

 

今回は、累積標高1192m、距離14.7kmを12時間40分かけて歩いたわけですが、赤岳はやっぱり楽しい!

 

エピローグ

美濃戸山荘前にサードウェーブを何とかやり過ごした私は、「きれいなトイレのやまのこ村」を目指してしまいます。しかし、意外と遠いんです。美濃戸山荘からやまのこ村まで。

八ヶ岳山荘が見え始め、ここで私は勝負に出ました。ザックのヒップベルト、チェストハーネスを外しました。直ちにザックを下ろせる体制です。しかし、反面、お腹は常時ピーク状態に入りました。マムートの駐車場を横目に坂を下り、ザックを乱暴に下ろし、やまのこ村の建物内へ。これできれいなトイレに入れる!

靴を早く脱がねば!そして、、その時、、!

 

やまのこ村の人が出てきて、

「あー、トイレですか。外の夜間用トイレに回って下さい」

と、駐車場の端の簡易トイレに案内されました。

簡易トイレ。現場のトイレと同じです。終わった後ペダルを踏んで薬液を流す、あのタイプです。

やまのこ村のトイレ。夜間は館内のトイレは使わせてもらえない。教訓になりました。そう言えば、早着のときトイレ行ったことなかったもんな。館内のを使わせてもらえると信じ込んでいました、、。

まあ、間に合ったので結果オーライでしたけど、これならもっと上の山小屋のトイレを借りればよかった、、。

しかし、自然の欲求というのは最強ですね。堰堤広場からやまのこ村までかなり早く歩きました。今までで一番早かったのではないだろうかー…。