forestline’s blog

山にはまったダイバーのブログです。

燕岳

今年の夏休みは燕岳に行くことにしました。

 というのも,偶然燕荘の個室が取れたからなのです。嫁さんは話だけで小屋は敬遠していたのですが,個室なら,と話してはいたのですが,前に確認したところでは満室。一月後キャンセルあるかなーと期待もせずに見てみたら1室だけ空いていた(私が予約したら満室になったので),というわけです。

 燕岳とはどんななのか,まずはメモしておきます。

 

 

 燕岳とは,北アルプスに位置する標高2,763mので,長野県の北にあります。wikipedia燕岳
 
 登山口は中房温泉から頂までの標高差1,310m,燕岳頂までの距離は4.6km。
 例えば富士だと,富士の宮口からの標高差1,386m,富士頂までの距離は4.2km。

 似たようなものです。といいますか,過去富士登山で高山病と脱水で遭難しそうになった私からするとちょっとこわい。
 登りやすい,初心者向けらしいんですけどね。

 できれば燕山荘に泊まって,翌日ピークを踏み,午後の早いうちに下山したい。

 燕山荘に泊まって,燕山荘から夕日の写真を撮り,夜は満点の星を撮影し,朝は山頂に登り,雲海から浮かび上がる御来光と槍を含めた北アの山々のモルゲンロートの写真を。。。と妄想は膨らんでいきました。

 登山予定としては先人達のブログを見て計画し,登山口付近の駐車場はすぐに埋まってしまうとのことで,前日夜に出発,現地に深夜に着けば登山口近くの第1から第3まである駐車場のうち,一番近い第1駐車場に停められるのではないか,と目算。
 体力的にどうせきついので各ベンチで10分休憩を取り,合戦小屋で昼食,13時頃に燕山荘,そこから翌日天気が良ければ燕山荘にチェックイン,悪ければ荷物をデポして山頂へ,という計画を立てました。
 当日2週間前くらいから天気予報をチェックする毎日だったのですが

 ところが


 615の天気図


 秋雨前線もそう長く居座ることないだろうってタカをくくっていたのです。
 そしたら日本の南海上熱帯低気圧が発生しやがりまして。
 この時にはどうせこの位置なら,秋の偏西風に流れてしまうだろう,って思っていたんですが。





 815の天気図



 台風(18号)になりやがりまして(涙目)。

 以前からあった17号と相まって秋雨前線を刺激して大雨降らせました(10日現在,栃木~茨城は大変なことに。)。
 
 もう,天気予報も登山指数「C」のオンパレードになってしまいました。行きの8日も帰りの9日も。
 でも,天気予報だし,当日ころっと変わることもあるよね,ってそれを信じて,7日の夜出発したのです。

嫁さんのコールマンの小さいザックでは荷物が入り切らないということで,私のザックを貸し,私は重くて使ってなかったドイターの
Aircontact55+10に,今回のために購入した3脚のヴァンガードVEO 265CBと,オリンパスコンデジTG-3といつものミラーレスオリンパスPEN E-PL3をザックに突っ込み,その他に

 

 

着替え,防寒着,シーツ,レインウェア,スパッツ,グラブ,ストック,ヘッドランプ,ハイドレーション,レスキューシート,トイレットペーパー,体を拭く使い捨てタオル,水のいらないシャンプー,救急セット,ウェットティッシュ,ゴミ袋+ビニール袋+100均ジップロック各数枚を入れて,午後8時に出発しました。


 途中トイレ休憩で,朝霧高原道の駅,中央道八ヶ岳PAに停まり,長野自動車道の梓川SAでトイレと朝食のおにぎりをゲット。
 長野自動車道を安曇野ICで降り,県道310⇒国道147⇒県道25⇒県道327と中房温泉へ向かいます。こう書くとややこしそうですが,案内も出てますし,ナビがあれば迷うことはありません。

 向かう途中の最後のコンビニは,県道25号の「有明交差点」にあるサークルKになります(2015.09時点)。

 この後,だんだんの中に入っていくのですが,昼間であればところどころ狭いところがありすれ違いができないなーくらいで済むのですが,真夜中で街灯は勿論無く真っ暗で初めての道となると,ほんと相当に気を遣いました。

 「中房温泉まで○km」という案内板は結構出てます。有明荘のある第3駐車場を過ぎ(目視で分かりますが,奥は真っ暗で駐車している車があるのかさえ不明),左に折れて橋を渡るところをまっすぐ行くと第2駐車場(目視で割りますが・・・第3駐車場に同じ)が,橋を渡ってすぐのところの左側に第1駐車場が(目視で・・・第3に同じ)あります。
 午前1時前に到着したのですが,とにかく真っ暗なので,空いているのかどうか,先に嫁さんに降りてもらって確認してもらいました。見た目,3台分くらい空いているように見えました。



 取りあえず,車のライトに気を遣いながら駐車し,その日は就寝。

 朝,5時に目を覚まし,行動開始。朝食を取り,準備をします。ここから登山口まで5分くらい歩くことになります。

f:id:forestline:20190511214507p:plain


 周りは明るくなっており,見回すと結構まだ空きがありました。


 


 第1駐車場には簡易トイレがあるのですが,,,うん,予想通りな感じでした。男性小以外はできれば登山口のトイレまで我慢した方がよいかもしれません。

 登山口までは坂道を上がります。意外と坂です。体力の無い私には。

f:id:forestline:20190511214619p:plain




 登山口には,平日の朝ということ,,というか天気が悪くなることを見越してか,3~4グループしかいませんでした。
 カードを書いてポストに入れて出発します。登山口はトイレと建物の間を抜けて入ります。



f:id:forestline:20190511214551p:plain



 登り始めは普通な感じです。普通,というのはなだらかとは違うので,ほどほどに疲れます。
 ただ,全般的にそうなのですが,この登山道の木道や階段,原則的には踏みしろ,蹴上げが普通の階段のように歩幅に合っているのです。普通の山道って,1.5歩ごととかになっていてリズムが取りにくかったりするじゃないですか。ここはちゃんと1歩になるように設計しているのが偉いです。
 また,燕岳は全体が花崗岩でできていて,とっても滑りにくいんです。そう言う意味で登りやすい山だなーと思いました。

f:id:forestline:20190511214656p:plain


 この辺は周りに木がまだ多くて,きっと晴れていたらもっと気持ちがいいのだろうなーと思います。この日は雨はまだ降ってませんが,曇っていてガスっています。

f:id:forestline:20190511214720p:plain




 登り始めて少しすると暑くなり,Tシャツ姿になっていまいました。まあー順調ってことですね。

f:id:forestline:20190511214747p:plain





 恥ずかしながら,大体にして標準タイムより遅れるペースで歩く私ですが,予想した時間よりも少し早めに第1ベンチに着きました(どれだけ遅く予想してるんだ,とも言えますが)。

f:id:forestline:20190511214821p:plain

 


 第1ベンチを過ぎて少ししたところから雨が降り始めてしまいました。いそいそとレインウェアを身につけます。
 登ってくる人はあんまりいません。人と出会いません。

f:id:forestline:20190511214845p:plain




 第1ベンチから第2ベンチまではわりかしすぐでした。そんなきつくもなく余裕がありました。
 ただ,雨が鬱陶しい。。。

f:id:forestline:20190511214907p:plain


 
 第2ベンチで休憩していた他の登山者もレインウェアを着込んでます。これからずっと雨なのかなー。やんで欲しいなあ。せめて上に着いたらやんでくれないかなあ。。

f:id:forestline:20190511214933p:plain

 



 第3ベンチ到着です。第2から第3は,登山口から第1ベンチくらいな感じでした。第3から富士見ベンチまでが一番きついので,第2から第3は体力温存,なんて記事をどこかのブログで見たけれど,温存する余裕はありません!(キッパリ)

f:id:forestline:20190511214954p:plain




 第3ベンチから富士見ベンチまでは,Geographicaによると,距離と高度差がそれまでのベンチ間よりあるって感じでした。


このような木道やこれまでもありました。

f:id:forestline:20190511215034p:plain

f:id:forestline:20190511215055p:plain



 でも、このような切り通しの道は今まではなかったかな。まあ,特段急になったという感じはしませんでした。ただ,それまでより長いなーという感じ。「もう準備運動はいいだろ?少し長くいくぞ」と言われている気分でした。

f:id:forestline:20190511215107p:plain




 で,やっと富士見ベンチに到着。本当なら富士山が見えるらしいのですが,ガスってて隣の山すら見えない状態。モチベーションが一気にアップするはずだったのになあ。。

f:id:forestline:20190511215132p:plain

 


 せめてもの救いは,雨の中こんな岩を登るのにも,岩が滑らないってことでしょうか。

f:id:forestline:20190511215203p:plain

 


 富士見ベンチから合戦小屋までは楽だったはずなんですが,距離も高度差も第3~富士見までとあまり変わりませんでした。

 

 

f:id:forestline:20190525075349p:plain



「あと5分」の表示もモチベーションアップにはあまりつながらず。あ,もちろんストックで看板をつついているわけではありませんよ。

 そしてやっと合戦小屋に到着。ひーこらは言ってますが,まあ,いつものこと。
 やっと大休止できるーってのがモチベアップでした。

 

 

f:id:forestline:20190525075454p:plain


 合戦,の言われが書いてあります。坂上さんはこんなところまで来て戦ったんですね。すごいー。

f:id:forestline:20190511215245p:plain



 雨なので合戦小屋のスイカ売店で売ってました。雨で濡れて少し寒かったけれど,美味しかった。ほんとに。天気がよくて暑かったらもっと美味しかったのかも。

f:id:forestline:20190511215305p:plain



 お昼として味噌煮込みうどんも食べました。美味しかったけど,煮込んではいなかったな,うん。

f:id:forestline:20190511215332p:plain




 ここまではケーブルリフトで荷物を下から運べます。ここから上への荷揚げは人力かヘリコプターになるそうです。
 私たちがいる間も,燕山荘向け「生樽」が運ばれてました。

 合戦小屋で小一時間休憩した後,再び登り始めます。確かもう急な登りはないはず・・・。
 でも,Geographicaによると,そこそこの距離と高度差があるようです。楽にはならないなあ。少し歩くと,合戦の頭に出ます。ここは三角点になっているのですね。ですので,ここを過ぎると少し下りになります。

f:id:forestline:20190511215406p:plain



そしてまた登る。

f:id:forestline:20190511215424p:plain



 登る登る。合戦の頭を超えると森林限界より上に出ますので,見晴らしはいい,,,はずなのですが。
 ほんとは槍とか常念とか見えるはずなのですが。

f:id:forestline:20190511215455p:plain




 全く見えません(泣)


 嫁さんもモチベが上がらず,私が「ふー疲れた」と止まっていると,立って寝てる始末。。。
※嫁さん曰く,「高山病で眠気が出た」

f:id:forestline:20190511215536p:plain


 そうして淡々とひーひー言いながら登っていくと,左手上の方に燕山荘が見えました。確かほんとはもっと遠くから見えるはずなんですが,直下に来てやっと見えるガス状態。

f:id:forestline:20190511215606p:plain



 


 まっすぐ行くとテン場で,燕山荘は左に折れる階段を上ります。その階段の脇の草むらに,イワヒバリを発見。
 最初,「おおっ 雷鳥だ!」と勢い込んだのですが,嫁には「キジバトじゃないの?」。
※帰宅して調べたらイワヒバリであることが判明しました。

f:id:forestline:20190511215641p:plain



 ここから燕岳まではわずかに1km。しかし燕岳すらガスで見えない始末。

f:id:forestline:20190511215711p:plain



 
 さあ,どうする・・・・,と深く考えるまでもなく,「もう疲れたし,雨で風も吹いてるし,明日にしようー」ということになりました。←誤りでした。


30.jpg



 チェックイン前に,玄関の前の広場にて,名物「山男岩」を発見。私も撮ってもらいたかったんですが,疲れてたので後でいいかーと。←これも誤りでした。


 初めての山小屋,燕山荘のメモは別に書くことにします。


 

 で,チェックイン後,部屋から一瞬だけ,見えたのです。燕岳。一眼はまだザックから出しておらず,手に持ったiPhoneにて撮影。

f:id:forestline:20190511215756p:plain

宿の中からで,手に持っていたのがiPhoneだったので咄嗟に撮りました。そして,1階の売店を見ているとき,別のお客さんが「槍が一瞬見えたよ!今ならまだ見えるかも」と言ったので,大急ぎで外へ。雨の降る中,見えたのがこれ。

 

f:id:forestline:20190511215823p:plain

 

 

槍ヶ岳。こんくらいしか見えませんでしたが,ちょっと感動。

 

 iPhoneしか持ってなかったのが残念です。

 

 

 

 

 

 

 

 帰りですが,どうしようか迷いました。燕岳のピークを踏むなど到底無理。

 朝から風の音がゴーゴー凄かった。

 フロントの気象情報にも「暴風のため行動不能となるおそれあり」と。

 予想の風も,20m/秒とか。

 

 山で吹くと,石や木が水平に又は下から飛んできます。凶器になります。

 また,風が巻くと谷から吹いていた風が急に反対側から吹くこともあります。滑りにくい花崗岩の山とは言え,風に煽られると墜落するおそれのある箇所は山だけに山ほど・・・。

 

 もう一泊するのかどうするのか。朝食で同席となった他の登山者の話では,「自分たちは常念から槍に行くけれど,今日は無理。停滞ですね。」という人,別の下山予定の人は「これから午後に向けてもっとひどくなる。山中も迷うところだが,降りてからの県道が雨量で通行止めになるのも心配だ」とのこと。

 そう言えば,第1駐車場の私が車を停めたすぐ後ろは川で,滝みたいのが結構な水量でゴーゴー言ってたのを思い出しました。

 ふと想像する,水没した愛車・・。

 やばい,やっぱ早く帰ろう,出発して危険だと思ったら戻ってこよう,と判断しました。

 

 嫁さんと下山に当たっての打ち合わせ。「石や枝が飛んでくるおそれがあるから帽子は必ず被ること」「視界が悪い場合があるからお互いの姿は必ず見える範囲にいること」「道迷いに気をつけて,おかしいと思ったら声をかけること」を確認。

 午前6時30分頃燕山荘を出発しました。

 

 

 こんな感じで目を逆三角形にしていたので,写真は全くありません。

 

 

 合戦の頭までは風が強くて帽子も紐が切れて飛んでいきそうな勢いでした。

 ただ,視界がそれほど悪くなかったのが本当に幸いでした。また,登山道は一部川と化していました。

 

 合戦小屋で小休止,iPhoneのプチ水没を発見して青くなる。

 

 

 富士見ベンチまでは順調に着きました。小休止。

 が,富士見ベンチを超えて,突然に足に疲労を感じて前に出なくなる。前日は臀部の筋肉に疲労を感じたけれど,太ももの前の筋肉にひどく疲労を感じる。

 第3ベンチ手前で,前に出ない足に「まいったな。。。足が動かない」とつぶやく。

 この辺から,ベンチごとではなく,10数メートルごとに立ち止まってしまう。歩数も,3歩歩いたら足が揃ってしまう感じ。

 

「立つって色々な筋肉を使ってうまいことバランスを取っているのだなあ・・」

そんなことが実感できるくらい筋肉がダメダメになってきちんと立っていられないようになってしまいました。

 

 

 

 それでもなんとか第3ベンチに到着し、休憩したのですが、当然のごとく雨は容赦なく降り続き,それまで運動で暖まっていた体が体が急激に冷えて寒くなる。レインウェアを着て,首にはタオルを中に巻き,防水のはずのグラブをしていたのだけれども,完全に体中がびっしょり。

 寒くていられないので立ち上がろうとすると足が不自由,という感じ。

 

 

 

 この足が動かないと言う状態は私だけでなく嫁さんも同じ様子でした。

 なんとか気力で足を前に動かして少しずつ進み,登山口まで到着しました。体はそれほど疲れていないのに,足だけが限界に近いほど疲労してました。 

 

 

 

 それと,階段や石を下るのは,足がきついけどどうにかできる。もっときついのは単なる下りの斜面。これがきつかった。数少ない登り返しのときはまだ楽だった。

 

 

 

 

 登山口に到着し,私が空身で車を取りに行きときの駐車場までの下り坂がきつかった。あまりきついので後ろ向きに歩いたらどうだろうと思ってやってみたら多少楽に歩けたのですけれど。バカっぽいのでやめました。

 

 やっとのことで駐車場に着くと思ったより川は増水しておらず,車もきちんとありました。登山口まで運転し,日帰り温泉者用の駐車場に停めると係の人が「日帰り温泉ですか?」と聞いてきたので,「そうです」。意外ときちんと見張っているものですね。

 濡れた荷物はテントに嫁さんに運んでもらっていたので,それを車に詰め替えてから温泉へ。濡れてない衣類はなく,しぼれるほど全部びしょ濡れだった。ほんと,温泉で生き返った気分。

 

 

 今これを書いているのは,翌日なのだけれど,昨日は足の疲労で動けず。今日はまた,筋肉痛で動けない(汗)

 いや,半端ない筋肉痛です。

 こんなブログを普通に山やってる人が見たら「あなたはもう山に来ないで下さい」「基礎体力からやり直してきなさい」と言われてしまうけれど,ほんとそのとおりだと思います。

 

 でも,山降りているときは,「もう燕にリベンジには来ない」「体力的に無理だし,体力つけてまたくるっていうほどじゃない」と私は言っていたのですが,帰りの運転中「体力つけてリベンジしようか」と話していましたので,いつか,体力つけてリベンジするかもしれません。