青空と強風の中、決して楽ではなかった立山三山縦走(1日目)
9月13日~14日と今年の登山のメインイベントとなる立山三山縦走を行い、無事帰ってきました。
概ね天気がよく、立山は見た目雑誌にあるような姿を終始見せてくれました。が、初冬を思わせる冷たい風と僕にとっては長い距離を歩くことは、楽ではありませんでした。
今回歩いたルート
今回歩いたルートはこちらです。
1日目は、室堂平を出発し、立山三山の1つである浄土山へ登り、雷鳥荘泊。
2日目は、雷鳥荘から雷鳥坂を登って剣御前小舎-立山三山の2目の別山南峰-別山北峰-真砂岳-立山三山の3つ目の富士ノ折立-同じく大汝山-同じく雄山と縦走し、一ノ越から室堂平へ戻りました。
距離にすると総行程15kmほどでしたが、歩いた感想としてはもっとだいぶ長く感じた登山でした。
出発
出発日から会社は休んでいましたので、早めに出て現地車中泊を選びました。時間にして、午後7時40分でした。出発の際に荷物の重量を量ったところ、12kg。これに現地で水を2リットル持つと14kgになります。なんだかやけに重いです。
休憩をした場所
昼間多少寝ていたこともあり快調に車を走らせ、休憩はトイレ休憩のみでした。いつもの谷村PAと夕食をとった諏訪湖SA、翌々の昼食を買った梓川SAです。諏訪湖SAでは、レストランはやっていましたが、深夜メニューになっており選択肢は多くありませんでした。岩海苔そばを食しました。
梓川ではランチパックを2つ購入。
諏訪湖でも梓川でもトイレが工事中で、仮設トイレになっていました。
扇沢駐車場へ到着
長野自動車道では安曇野ICで下り、一般道も夜のため車も少なく快調に進めました。安曇野ICから扇沢までは結構距離があるので、助かります。
扇沢駐車場まではさすが観光地に向かう道だけあって、非常に走りやすい道です。くねくねしたところもほとんどありませんでした。
ちょうど24時前に扇沢駐車場に到着。どの駐車場も空いていたので、さて、どこに停めようかと悩みました。
最初の予定では無料駐車場に停める予定だったのですが、予想に反して真っ暗で下もダートっぽく見えましたし、トイレのある扇沢駅まで結構距離があるように見えました。かといって、駅の目の前の第1駐車場は1,000円/12hと、僕らが帰ってくる時刻を考えると4,000円になってしまいます。そのため、トイレにも2~3分とほど近く、街灯はありませんが地面もアスファルト舗装されている1,000円/24hの第3駐車場に停めることにしました。
僕は車中泊では結構眠れる方なのですが、前回燕に行ったときに運転席では眠れず、後部座席でやっと眠れたこともあって、最初から後部座席に移動して寝ようとしました。しかし、昼間寝ていたからかほとんど眠れず、快適な車中泊ができる車にするにはどうしたらいいか、等と言うくだらないことばかりをずっと考えて目をつむっていました。夜半過ぎに相方が場所を交代してくれ、助手席に移動したらどうやら少しだけ眠ることができました。
室堂へ移動開始
扇沢から室堂への行程は、トロリーバス-ケーブルカーーロープウェイートロリーバスと4つも乗り換えないといけません。始発のトロリーバスの時刻はこの日は7時30分でしたが、6時過ぎから登山客が駅の方へ向かって行っていました。
僕たちも、朝食のおにぎりを1つだけ食べ、歯磨きとトイレを済ませて7時過ぎに駅に行きました。切符売り場はガラガラでしたが、既に改札前は人の列になっていました。
それでも4台のトロリーバスが始発に使われたため、始発に乗ることができました。
トロリーバスの到着先は、黒部ダムです。到着ターミナルから、階段を下りてトンネルを通ります。
階段の先には、黒部ダムが見えてきました。僕たちは始発の客なのですが、ダムでは観光放水が行われており、ラッキーでした。
ダムの堤頂を渡り、再び屋内を歩いて行くと、ケーブルカーのターミナルに出ます。ケーブルカーでも臨時便を出してくれたので、ほぼ始発の時刻に乗ることができました。
お次はロープウェイです。始発の時刻を多少余裕を持たせてくれているので、乗り換えを焦る必要は全くないのですが乗り場は混雑します。
そして最後、再びトロリーバスになります。
後は歩いて室堂ですから、心なしかみんな急ぎ足です。
この室堂のターミナルは、ホテル立山の地下にあると言った位置関係にあります。外に出るために階段を上がっていくのですが、途中にホテル立山の土産物売り場の入り口がありました。
室堂へ到着
ようやく出口。室堂が見えてきました。何か建物を建築中ですね。地面が濡れています。ガスで真っ白です。雨が降っていなければいいんですが。
出口を出ると、世界がガスの中で周りの山々も見えません。
が、すぐ左手を見ると、どーんとよく雑誌とかで見る「立山」と書いた大きな岩がありました。
当然記念写真のモニュメントとして最高なので、皆さん写真を撮ろうとするのですが、そうすると、一眼を持った業者の人が「お客さんのカメラで撮ってあげますよ~」と言ってくれます。で、撮ってもらおうとすると「最初にこっちのカメラで撮りますね」と業者のカメラで撮り、その後客のカメラで撮ってくれますが、帰ろうとすると違う人が追っかけてきて業者のカメラで撮った写真をプリントアウトしたものを見せ、「買わないか」という商売をしていました。(説明が長い)
僕らは、このモニュメントのすぐ近くの岩に腰をかけ、朝食の残りのおにぎりを食べ、水を補給してから出発です。
だらだらしているうちに、ガスが取れて来て、一気に山々が姿を現してくれました!まだ雲が低いですが、よく見る「立山」の風景です。この辺の山はよく分からず、山座同定できないので、全く知らない土地に来た、というそわそわというか落ち着かない気分になります。
浄土山へ
室堂周辺は散策路になっているため、石畳の歩きやすい道が走っています。僕らは今日は浄土山へ向かいます。
浄土山はこんな山です。準備運動のつもりで来たけど、け、結構高いじゃないか。
浄土山方面の案内板を進んで行くとじきに石畳が終わり、階段の上りになりました。
地味にこの階段がきつかった気がします。その後ややガレ気味の道へと変わり、
浄土山と室堂山との分岐に差し掛かります。
岩岩した道になりました。意外と急登だし。うぐぐ、結構疲れる。しかし、人が少ないなあ。
浄土山山頂
室堂から1時間半かかって、ようやく浄土山登頂しました。若干ナビの山頂と位置がずれていますが、軍人霊碑もあるし、ナビの山頂方面は立ち入り禁止になっているし、ここでいいや。
山頂へ着いた頃には、ガスもほぼ取れていて周りの山々がよく見えました。正面がラスボスの雄山です。
これが軍人霊碑。このように碑が石で囲われています。山頂では風が強く、計測では15m/sくらい吹いて寒かったので、この石壁を防風壁にするようにして座り、休憩をしました。マジで寒いす。
軍人霊碑の左手には説明書きがありました。日露戦争に従軍した富山県人の軍人さんの慰霊碑だったようです。
下山中に花の写真を撮る。
30分ほど休憩をして下りることにしました。何だか相当疲れてしまったので帰りは行きに見た花の写真を撮りながら戻ります。
花の名前はよく分からないので帰宅してからネットで調べた限りですが、、
ミヤマリンドウ
ハクサンボウフウ
ハクサントリカブト
ウサギギク
ナナカマドの実
正体不明の白い花。おしべが綺麗
正体不明の黄色い花。たんぽぽ?
花の写真はいいですね。疲れも忘れていつの間にか下りている。(とは言え、時間も大幅にかかるのでツレがいる人はご注意を、ですね。)
ふと前を見ると、室堂と奥大日岳がそびえていました。
雷鳥荘へ
立山の遊歩道に戻ってきましたが、室堂の手前を雷鳥荘に向かうために、右に曲がります。室堂山荘の方向です。足が疲れています。
ちらっと室堂山荘を外から見ましたが、なかなか雰囲気がよかったです。もし、次があったら、ここに泊まって雄山から周るのもいいな、と思いました。近いし。
こちらは、室堂山荘に隣接している「日本最古の山小屋」で、記念館になっています。
さて、トイレに行きたい(室堂山荘では何となく借りるのに声をかけられなかった。)ので、先を急ぎます。ま、道も悪くないしそれほど時間はかからず雷鳥荘へ着けるでしょう。(と思っていたのは間違いだった。)
ところが意外とアップダウンがあります。なかなか辿り付かない。みどりが池やみくりが池のそばを通ったのに、疲れて早く宿にたどり着きたいという気持が合わさって写真を1枚撮るくらいしか余裕がありません。
水面がさざ波だってなければ、逆さ雄山が撮れたのでしょうけど。待つ気はさらさら起きませんでした。おかしいな、今日はもっと余裕のある日程のはずなのに。
硫黄臭がきつくなり、小さい避難小屋のようなものが見えてきます。地獄谷火山監視小屋です。すぐ脇に地獄谷があります。地獄谷に下りられるのかと思っていたのですが、橋の上から見るだけです。大勢の団体の登山客がガイドの説明を受けています。
地獄谷に近づくと、嫌と言うほど道筋に吹き流しと何かの警戒装置のようなものが設置されています。吹き流しは地獄谷からの風向を、つまりガスの流れを見るためのもののようです。警戒装置は、火山活動が活発になったらサイレンでも鳴るのでしょうか。
僕は臭覚障害と言っても過言ではないのでよく分かりませんが、相方は苦しそう。そう言えば、吹き流しがこっちにお尻を向けて勢いよくたなびいているのは、キノセイだろうか。
今日のお宿の雷鳥荘は、ここから右にUターンしてずっと下り、更に今度は左にUターンしてずっと登らないといけません。なんだそりゃ。
しかし、こんなに地獄谷に近いのですね。僕は臭いを感じられないけど。
こちら、下り中右手にある血の池地獄でございます。緑があってあまり怖く見えない地獄ですね。
さて、最後の登り。登りきると雷鳥荘です。予定を変更して宿に着いた後の散策はしないことに決めました。
ようやく着きました。室堂山荘から長かったー。40分かかりました。相方と、「これで「予約取れてませんが?」とか言われたらどうしようか。」と笑いながら話していたのですが、受付の時、フロントの人に「え?○○さん今日ご予約ですか?」と言われて笑顔が凍り付きマジで焦りました。予約時に予約を受けた方が僕の名前を間違えて記載していたようでした。。
雷鳥荘に泊まってみた感想
さて、雷鳥荘ですが、結論からするといいお宿でした。情報どおり山小屋というよりは旅館(というか民宿かな)に近い宿でした。僕たちは山小屋という視点からどうしても見てしまうので、山小屋にはないサービスばかりで感動してしまって、マイナスポイントをあまり見つけられません。でも、旅館のつもりで泊まった人は違うのだろうなあ。
では良かった点。
- 温泉がある。
白濁の温泉です。別のブログでは温い、温まらない、と書いてあるものもありましたが、そんなことはありませんでした。熱くはないけれどずっと入っていたらのぼせます。
また、温泉とは別に沸かし湯のお風呂があり、そこに洗い場があるのですが、シャワーがあります。リンスインシャンプーとボディソープが備え付けになっています。部屋にはタオル(てぬぐい)、浴衣、歯ブラシも用意されています。脱衣所にはドライヤーまであります。
- 部屋が暖かい。部屋に暖房が入っています。夜になっても暖かいです。窓は二重サッシです。
- サーモスのポットとお茶と菓子が用意されている。お湯は食堂に行くと熱湯を入れることができます。もちろん、持参の山専ボトルにも入れられます。
- 洗面所の蛇口から飲料可能な天然水が出る。水の補給も安心です。また、洗面所ではお湯が出ます。これも驚きました。また、手を洗う液体石けんと手を拭く紙タオルまであります。
- トイレが水洗洋式、便座ウォーマー付きウォシュレット。もう、言うことありません。清掃も行き届いていました。
- ハーゲンダッツのアイスが食べられる。なんかすごいです。たこ焼きまでありました。山でのたこ焼き。おいしかった。
- 喫煙所がある。暖房は入っていないが24時間電気がついている。これは、喫煙者にのみの利点ですが、僕には助かりました。灰皿も綺麗でした。
- 食事も美味しい。ご飯、みそしる、漬物はお代わり自由。ご飯を3杯も頂いてしまいました。これは日中の運動と山補正が入っているかもしれませんが。
鍋は鶏肉をスライスしたものと野菜であっさりとした味付けにしてあるものでした。
- 自動販売機がある。いつでも冷たい飲み物を飲むことができます。
- 宿代はリーズナブル。個室なのに入湯税抜きで@11,000円。朝食を弁当に替えてもらっていますが。山小屋ですと個室なら大体@15,000円前後が相場だと思うので、登山口にあるお宿でもこれだけ快適設備でこのお値段なら、僕なら迷わずこちらを選びます。
こう書いてみると、旅館なら当たり前のことばかりですね。いかに山小屋というものは下界と違うのだ、ということを思い知らされた気がしました。山小屋の荷揚げはヘリと歩荷ですしね。(こちらも室堂からは歩荷だそうですが。)
では、今ひとつだった点に行きます。
- 壁がやや薄い。やや、です。山小屋の個室と比べたら大分マシです。
- トイレが遠い。山小屋風に横長の建物で、僕たちは端の方の部屋だったのですが、トイレと洗面所が1つしかないので遠かったです。まあ、どうということもないですが。
- お風呂が遠い。僕たちは3階の部屋だったのですが、お風呂は1階で、階段は施設に何カ所かあるのですが、1階に下りられる階段は1つしかなく、その階段も遠かった。
とまあ、泊まった部屋によることばかりで、大した問題ではありません。あ、そうそう、2日目の記事で書きますが、お弁当はちょっと貧弱でした。これは、白馬山荘の方の勝ちだったなあ。
この日の日没は18:01だったのですが、僕らが宿に着くと間もなくガスが出てきて、ずっと取れませんでした。そのため、アーベントロートの撮影は諦めざるを得ず。
夜になってもガスは取れず、明朝は早立ちなので、待ってもおれず、星景写真も諦め、20時には就寝しました。ぐっすり眠れました。
大分長い記事の1日目になってしまいました。ここで区切りを付けて続きは2日目の記事になります。