2019年14座目 槍ヶ岳(3~4日目)
3日目
槍ヶ岳山荘~槍沢ロッヂ
昨晩は体調がよくありませんでした。
頭痛は激しくガンガンしてたし、動悸も速く呼吸は浅く、鼻は両方完璧に詰まっていました。口呼吸すると喉は痛くなるし、乾くし。そして若干の吐き気も。
夜中に水を飲んでトイレに2回ほど行きました。真夜中のトイレ。私たちの部屋は1階だったんですが、トイレは2階にしかないんです。山小屋の暗い中(といっても槍ヶ岳山荘は常夜灯が点いているので真っ暗ではなかったですが。)トイレに向かう。
過去には何人もが亡くなっているだろう槍ヶ岳。この山小屋にも遺体が運ばれたこともあるだろう。時間は夜中の1時30分。。。
※でも、あんまり怖いことありませんでした。
そんな感じで、朝4時に起床しました。5時には出発するつもりです。妻も結構具合が悪く、寝ていると気持ちが悪いので早朝からロビーで座っていたみたいですし、やっぱり朝再度穂先に登ることはやめました。
5時過ぎ。歩きながら御来光を見ようと思いましたが、雲に隠れてしまっていますね。
穂先もまだ眠っているようです。
滝雲も現れていました。タイムラプスで撮影したらいい感じの映像になりそうなんですが、今ひとつやり方が分からず。
少し降りてくると穂先に太陽が当たり始めました。「ああ、本当はこんな風に見えていたんだね。。」このフレーズはこの先何回も口にしました。
殺生分岐です。登るときは殺生ヒュッテから登ったので通らなかった道ですね。ヒュッテ大槍にヘリが物資補給に来てましたよ。
坊主岩屋下の更に下。グリーンベルトが始まるところです。穂先はこの辺から見えていたのですね。でも、ここから先は見えなくなりそうです。バイバイ穂先。多分もう来ない。君は遠すぎる。
今日は登って行く人も多いです。快調な歩の進みです。
いいよな、こんなに天気のいい日に登るなんて。こちとら、調子が悪くてペースは全然上がらないし、休憩も何度も取りながら降りています。
大岩でまた休憩を取ってみましたが、オコジョは現れず。この辺からトイレにも行きたくなってきました。
ここから先は沢ルートになります。傾斜はかなり緩く。そして暑い。気温も昨日とは大違いだ。そして河原でまた休憩してしまう。
槍沢大曲り。休憩している人が何組もいました。みなさん、上高地まで戻るそう。お疲れさまです。私ら徳沢泊なんで。
ババ平。やっとトイレに行けた!ババ平のトイレは改修後とても綺麗と聞いていたのですが、うん、確かにテン場のトイレにしてはとても綺麗。トイレに入れたので、水分もグビグビ飲めました。
水も補給したのですが、意外と冷たい水じゃないな。
そう言えば、防災ヘリがバリバリ飛んでました。何度もホバリングしてたので、誰かを捜索している感じでした。
11:15、槍沢ロッヂまで帰ってきました。槍ヶ岳山荘から約5時間かかりました。標準タイムより1時間オーバーです。
槍ヶ岳山荘で朝食の代わりにもらったお弁当を食べます。それまで気持が悪くておにぎりなんて食べられない、と思っていたのですが、多少良くなりました。高度が下がったからかな。
そして、お弁当を広げてみると、おにぎりではなくおこわ!
おお、餅米だ。おこわなら食べれそう。
ちょっと多かったですが、何とか平らげました。
100円+20円(紙コップ代)でコーヒーを飲んだのですが、これがまあ、美味いこと。ネスカフェエクセラなんですけどね。
そうそう、槍沢ロッヂで食後のコーヒーを飲んでいたら、小屋番さんが「ヘリが荷下ろしに来るんで、小屋内に避難して下さい」と言いに来ました。そのため、小屋内でコーヒーを飲んでいると、ヘリが飛んできましたねー。槍沢ロッヂの場合、ヘリポートが小屋のすぐそばなんでローターの風とかすごかったですよ。砂埃もすごかった。これは避難しないとだ。
避難しろ、と言われて小屋内に入ったのに、いざヘリが来ると外に見に行くちょっとアレな人もいて、小屋番のお姉さんに怒られてましたね。見に行きたくなる気持は分かりますが、弁えましょうね。
さて、その後は川沿いの道を歩きます。とても気持のいい道のはずなのですが、私らボロボロなんで、心から愛でる余裕がないです。表層的に「きれいだねー」とか言ってましたね。
何しろ、槍沢ロッヂを出たのが12時30分で、標準タイムで徳沢まで2時間30分なわけですが、休み休みなので、15:30に徳沢に着くには結構ギリギリなのではないかと。
槍沢ロッヂ~徳沢園
二の俣でも休憩してから橋を渡ります。
それでも歩けば進める。ようやく横尾に着いた。14:00でした。あれ、ちょこちょこ休んだ割には意外と標準タイムに近い?
横尾では人はまばらで静かでした。いい雰囲気のところです。
ここでも一休みし、売店などをのぞいて(結局何も買わず)、14:30出発です。
来年はこの橋を渡って涸沢かな!
そして15:10に新村橋。ここまで長かった。平坦なのですが、とにかく距離がありますよね。何だかトレーニングを強いられているように感じます。ですが、ここまで来れば徳沢まですぐです。なのでここでもちょっとだけ休憩。
15:30、ついに徳沢に到着しました。目標どおりの時間です。
徳沢園
本日のお宿が「氷壁の宿 徳沢園」です!
一度ここに泊まってみたかったのです。徳沢園にも相部屋があるので、高級山小屋って感じかなと思っていたのですが、もうね、ここはホテルですよホテル。
入ればホテルウーマンが笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えてくれ、スリッパを揃えてくれるのです。部屋の鍵は、、、ないですけどね、私ら相部屋なんで。
フロントのそばのラウンジです。ラウンジですよ、談話室じゃありません。レトロです。
「相部屋は穂高、という部屋になります」と案内されましたが、これがその穂高です。いえ、HOTAKAです。正面右の棚は、充電用コンセント。時間制限無し!
そして、これが寝床。私らの寝床は、階段をちょっと上がって右左です。
寝床の中はこんな感じ。薄いものの壁に囲まれていて、プライバシー完備です。壁はベニヤ板1枚で音は漏れ漏れですけれど。
布団も羽毛で暖か。棚もちゃんとついていて、ザックを置いても十分ですね。
そして、何と、タオルと歯磨きセットまでついています。山小屋から来ると至れり尽くせりで感動しました。
ここがトイレ。左ののれんがかかっている場所です。
トイレも最高で、まず、お湯が出ます!手を拭くペーパータオルがあります!ゴミ箱があります!
個室は、便座がボタンで動くタイプで、ウォームレットになっていて、ウォシュレットなのです!
こちらおしゃれ喫煙所。
そしてそして、徳沢園にはお風呂があります!
お風呂にはシャワーがあってお湯が出ます。シャンプーとボディソープも備え付けがあります!湯船は温泉ではないでしょうが、循環しています。2日間体を洗っていないので、このお風呂は最高でした!
たった2日しか山に入っていないのに、施設の差がすごくて、人類の飽くなき欲求が文化を進化させたのだな、と再確認させてくれる徳沢園でした。(山小屋は山小屋でいいんですけど。)
そして、みちくさカフェでの名物ソフトはやっぱり最高に美味しかった。
最後に食事です。テーブルに説明に来てくれましたが、よく覚えていません。が、何か地のものを使った凝った料理です。魚はイワナで、初めて頭から食べられました。にんじんの漬物も美味かったです。
驚いたのはこの後、、、
何と、信州牛のステーキまで出てきました。これがまた美味かった!
相部屋が1人12000円で、山小屋からしたら少しお高いですが、泊まって本当によかった。リピートしたい。体調もかなり改善した感じ。
夜も、何か寝るのが勿体ない感じがしましたが、20時に就寝、、。やっぱり疲れてはいますよね。
4日目
徳沢~上高地
朝食が7時からでしたので、ちょっと散歩をしてみました。
昨日夕方に見たときよりも少しテントが増えていますね。そう言えば夜通し電気を付けていたテントもあったような。
徳沢園前から見える山。明神岳と前穂高岳だそうです。どの辺が明神でどの辺が前穂かは分からないですが(笑)
徳沢園の玄関を通り過ぎて更に真っ直ぐ行くと、蝶ヶ岳への登山口がありました。蝶ヶ岳も行ってみたい。けれども、結構登山道厳しいらしいですよね。
そばに咲いていた紫の花。上高地では比較的低いところによく咲いていました。綺麗な花で気に入りました。
アップ。ノコンギク、という花なのかな。
徳沢園での朝食。朝7時からでした。7時から朝食ってところが、山小屋じゃないですね。梅干しの周りのシソが美味しかったです。ホールの方が説明してくださりましたが、よく覚えてないです、、。でも美味しかった。
食事を終えたら帰る支度。今回は妻と左右の部屋を取れたのでよかったです。
ロビーに向かいます。左手がラウンジ、右手がスーベニアショップです。お土産もここで買いました。
8:15、徳沢出発。今日はのんびり上高地へ戻ります。
上高地から見て、徳沢園のすぐ手前にあるのが徳沢ロッヂ。ここでは外来客のお風呂も受け付けています。
前穂も見納めかな、、、。
9:00、明神に到着。なんかゆっくり歩いても頑張って歩いてもあんまり時間が変わらない気が、、。
明神館の前では、何かの撮影クルーが。これは、もしかして、にっぽん百名山では?と思い見ていると、穂高神社の石碑の前での撮影を後に明神大橋の方に歩いて行きました。
明神~上高地
明神大橋。撮影クルーを追いかけたわけではなく、最初から、今日は右岸コースを歩く予定だったのです。数年前歩いた道のトレースです。正面にとんがっているのが明神岳。
お、橋を渡った先でまた止まって何か撮影している。
撮影クルーの後を追うような形で穂高神社に向かいます。
鳥居をくぐると左手嘉門次小屋。囲炉裏で焼いた岩魚を食べたかったけど、まだ9時半だし、お腹がすいてない、、。
ということで、そのまま前に進みます。この辺だと、登山のでかいザックを背負っている人はほとんどいません、、。
拝観料を払って、明神池を見に行きます。これは祭典のときに使う鳳凰と龍。船に取り付けるみたいですね。
あ、神主さんに船に乗せてもらっている人がいる。撮影クルーと関係があるのかな?
桟橋の奥には小さな社がありましたので、旅の無事のお礼を。
戻ってくると、道を挟んだ社務所の前には、嘉門次さんのレリーフ。
さて、10:00、上高地に向けて出発しましょう。いよいよ旅のフィナーレです。こちらの右岸コースは梓川本流沿いというより、ちょっと奥に入った道で、いくつもの支流を渡るのですが、支流も綺麗なんですよ。
透きとおっています。
そして焼岳が見えてきました。上高地へ着いてしまう、、。
そして11:00、上高地へ到着しました。うん、結構長かった。ちょっと飽きた。
ちゃんと看板と合っている。これは、見やすいかも。
かっぱ橋はすごい人出。聞こえてくる言葉から、外国人多いなー。ここだと、登山者は完全にアウェイ感を感じますw
上高地のバスセンターでは、到着後すぐに沢渡行きが出るということで、速攻乗りました。旅の終わりの感慨にふける間もなし。
そして、沢渡バスターミナルへ到着です。
こんなところにくまの剥製があったのか、気づかなかった。
当初のもくろみどおり、足湯です~。きもちいい~。
昼食をまだ食べていなかったので、色々検討した結果、R158を走っているときに見かけてちょっと気になったお店に行くことにしました。そこは「ものぐさ太郎」というお蕎麦屋さん。
あんまり期待しないで行ったのですが、店員さんの接客態度も、サービスも、おそばのお味もよく、満足しました!リピーターになってもいいね。
サービスで出てきた蕎麦焼き。
二八蕎麦。2人前~4人前まで、1人前と同じ価格で提供しているそうです。
私は二八の2人前、妻は十割の1人前を頼んだのですが、更級だからか、十割蕎麦もつなぎが入っている感があってよく分からなかったと言ってました。二八は普通に美味しかったです!
十分堪能して、松本ICから高速に乗り、家に着いたのは夕方の早い時間でした。
感想
さて、今回の装備についての感想ですが、今回持参した装備はほぼ全て使用しました。使わなかったのはダウンジャケット、ミニ三脚、レリーズ(曇っていて星景を撮れなかったので)だけです。そして持って行けばよかったな、と思ったのが、アタックザックです。
服装の枚数については、各山小屋の乾燥室が機能していたこともあり、あまり問題は感じませんでした。ただ、槍ヶ岳山荘で山Tシャツを買って補充しようと考えていたところ、完売だったのが誤算でした。まあ、前日に着て乾燥室で乾かしたベースライナーを着て過ごしましたが。いずれも臭いもしなかったので、ベースライナーとソックス、優秀でした。
また、雨中、上はレインウェアを着ていましたが、下はミレーのティフォン50000ウォームストレッチトレックパンツだけで登ってました。最後の方は撥水はなくなっていましたが、染みることなく、また、乾くのも早く、使い勝手は良かったです。
次に山行全体の感想ですが、登山道自体はそれほど急な斜面もなく(穂先以外)、ただただ、長い道を耐える、という感じの山だと思います。しかし、今回では2日目に当たりますが、高度を上げていくため、登り始めと中盤以降における気温差がありました。登り始めではレインウェアを着ると暑くてたまらず、メッシュの上にレインウェアを着ていたのですが、ゴアの透湿が間に合わずにレインウェアの内側がびしょ濡れになっていました。そのせいで寒かったのかと思います。
こうして、初の槍ヶ岳を終えました。3日目では、もう来なくていいかな、と思っていましたが、今ではやっぱり槍穂の上で絶景見たかったなあ、という思いがふつふつとあり、チャンスがもしあれば、また行ってみたいと思っています。
最後に。私たちが下山していた頃、県警ヘリが飛んであちこちでホバリングしていました。「遭難かな、、、」と思っていたのですが、やはり、9月8日に槍に向けて入山した登山者が行方不明(14日に判明)になっていて捜索中だった。どこから入山してどのコースを辿っていたか分かりませんが、見つかることをお祈りしています。