forestline’s blog

山にはまったダイバーのブログです。

富士山(懺悔の記録)

9月23日、3連休ですが特段することもなく、思いつきで富士山宝永山登山に行くことにしました。

富士山自体は9月初頭で閉山していますが、宝永山なら行けると聞いたからです。
宝永山の標高は2600m程度。先日行った独標よりも低く、また、往復で4時間もあればよさそうなので、風がなければそれほど難しくもないだろうと考えました。
装備的にも、先日の独標と同程度で、防寒についてもユニクロヒートテックの長袖に綿の長袖シャツ。寒かったらレインウェアを着ればいいだろう、という程度でした。

 



出発は富士宮駐車場が混まないようにと午前3時半。午前5時5合目到着予定でした。起床は2時半。前日眠れず睡眠時間も2時間半…。

東名を富士インターで降り、富士スカイラインへ。3月までいた職場の管轄なので、勝手知ったる道です。

富士スカイラインへ入るところで、現在の気温が8度。
正直驚きました。こんなに低いとは。。5合目の気温は幾ばくかと思うと不安はよぎりましたが、太陽が出れば上がるだろうと考えました。

5合目駐車場到着は午前5時10分。ほぼ予定どおり。
売店は閉まっており、トイレが使えないので、売店下の女子トイレを拝借。嫁さんも。あまり綺麗ではありません。

この日の日の出が5時30分過ぎ。
もうすぐ日の出です。雲海の綺麗なこと。

P1000944.jpg


5合目からのご来光を撮影することにしたのですが、待ってる間が寒い寒い。。。


5時45分、山の斜面からですがご来光です。

P1000951.jpg



装備を着替えます。寒いのでレインウェアの上着を着ました。
グラブを持ってこなかったので、スティックを持つ手が冷たい。
6時15分登山開始。入り口には案内図があります。

P1000955.jpg


そして5合目の標識。ここで2400mですから、200m登れば宝永山山頂なわけです。多少寒くても行けると思っていました。
なお、チップ制のきれいなトイレがすぐ上にありました。

P1000956.jpg



日は昇り、空は青く、気持ちいいスタートでした。

P1000959.jpg




6時40分6合目到着。すぐ着いた気がしました。ここで日の出を見たら良かったと思いました。

P1000960.jpg



ここから見る雲海も綺麗でした。

P1000962.jpg


遠くの雲は海に浮かぶ氷山のようです。

P1000964.jpg



山小屋を過ぎると案内板があります。

P1000968.jpg


私たちはここで宝永山の方向へ行くつもりでした。実際そちらへ歩みを進めました。
ところが振り返ると、後から来る数人が山頂方面へ行きます。そして次の人たちも。
看板を見ると、「ここから山頂まで往復8時間」という旨の記載も。(今か考えると片道だったかもしれません。)


考えました。今日の天気は絶妙です。どうも山頂へ行く人も結構いるよう。山頂目指そうか。やってみようか。
時間的にもやれるんじゃないか?!

今考えると、「宝永山だから」が大前提のこの登山でした。
富士山頂を目指すなら準備すべきものがたくさんあったのは、今このブログを書いていても分かります。
ですが…何となく安直に「行ってみよう」と思ってしまったのですね。

新田次郎の山岳小説が好きで、遭難の話もたくさん読んだのに、全く教訓にならずに地で行ってしまったようです。幸運にも遭難しませんでしたが…。

周りの人と同じくロープをくぐり、富士山頂方面へ。


途中山頂方面を見て「がんばるぞ!」と思います。ですが、ここから見えるのは山頂ではなかったんですね。


P1000970.jpg




7時40分新7合目着。朝飯を食ってから4時間が経過し、お腹がすいていました。そのため、途中コンビニで買ったおにぎりをパクつきます。
一方、飲み物は途中トイレがないことから、極力我慢しようと考えてしまいました。これが最大の失敗だったのですが…。

P1000972.jpg



ここから見る眼下の景色も素晴らしく、遠くに駿河湾が見えます。

P1000975.jpg

また、目を通ってきた道に向けると、雲海の手前、遠くに車を停めた駐車場が見えます。

P1000980.jpg




また、登りはじめ、8時50分元7合目に到着。

P1000987.jpg



だんだんきつくなってきました。足も重たく、何だか頭痛もするように。高山病でしょうか。あくびも出ます。休憩中に景色を見て気を紛らわします。

P1000991.jpg





がんばって登りはじめます。上方を見ると次の山小屋が遠くに見えてきました。

P1000992.jpg





気温は低く、歩いているうちはいいのですが、たいした防寒装備をしていないため、途中休むのに立ち止まるとすぐに寒くなります。
岩から落ちる雫も凍っています。

P1000995.jpg



右下方を見ると、行くはずだった宝永山が遠くに見えます。

P1010002.jpg




9時50分、8合目着。

P1010003.jpg


かなり厳しく、長く休みたいのですが、座りこむと寒いのです。喉の渇きはさほど感じませんが、汗はかいていて、それがすーっと冷たくなります。

気圧の関係か、持ってきた飴の袋がパンパンになっています。

P1010004.jpg



また、登山開始です。足を引きずるように登って行きます。頭痛も収まりません。
遠くに次の山小屋が見えて来ました。

P1010008.jpg



10時54分、9合目着。ここまで来ると寒さが一層身に染みます。標高3460m。後300mです。

P1010009.jpg


3460mから見た駿河湾です。

P1010013.jpg




山頂方向は、この日初冠雪となった雪がまばらに見えます。

P1010014.jpg




9合の山小屋を過ぎた辺りにある浅間神社奥宮の鳥居も氷柱が降りています。

P1010015.jpg




11時40分9合5勺着。この頃になると嫁さんについていけなくなりました。全ての人から抜かれて行きます。

P1010144.jpg



もう諦めたい気持ちと後もう少しじゃないか、という気持ちが入り混じりながら、歩みを進めていました。
正直、無理をしていました。
やっとのことで、山頂の鳥居まで到着。12時50分。通常なら9合5勺からは30分が標準らしいのですが、その倍時間がかかっていました。

P1010018.jpg



山頂入り口の鳥居も凍結です。

P1010021.jpg




浅間神社奥宮は閉鎖されていました。しかし見事な巻雲でした。

P1010032.jpg




疲れ果てており、また、トイレに行きたいこともあって、お鉢めぐりどころか3776mの最高点まで行く気力はありませんでした。

P1010029.jpg




それでも火口だけは見ておこうと向かいました。水溜りは凍結していました。
火口は雄大で恐ろしいの一言でした。

P1010025.jpg

山頂にいた時間はそれほど長くありませんでした。

疲れ、寒さ、体調不良、トイレからです。13時20分に下山開始です。



ここから先の写真は1枚きりしかありません。写真を撮ってる余裕がなかったのです。



西穂高のことからして、下山に要する時間はそれほどでもないと踏んでいました。しかし…



下山開始からものの15分足らずから体調は急速に悪化しました。
喉は乾いている自覚はないのですが、口の中はからからでした。でも、トイレを考えると水は…。
1リットル持ってきた水はまだ、1本目の半分も飲んでいません。
おそらく脱水症状だったのではないかと思います。

私は多血症と言って、赤血球が通常よりかなり多く、水分を多めに採らないと血が濃くなりすぎるそうです。
日ごろは毎日2リットル以上水分を採っているのですが…。

そして、寝不足と装備不足からくる寒さによる体力の急速な消耗。


下りでは頭痛が激しく時々意識が朦朧とする場面も。危険でした。


ふらつきながら歩くため、幾度と無く転倒しそうに。


山小屋と山小屋の間が異様に長く感じられながら歩きました。


「6合に着けばトイレにいける。トイレにいったら水を飲める」

そう考えてしまっていました。


岩が人の顔に見えたり、自動車に見えたりして。見間違えとは違うのですね。何度見ても駐車場に車がいっぱい停まっているのです。でも、そばまで行くと岩なのです。



やっとのことで到着した山小屋で休むと、寒くて寒くて仕方ないのに眠くて一瞬で寝てしまいます。でも、嫁さんに起こされ、また歩きます。



元7合過ぎたところでは情けない話ですが、嫁さんが荷物を持ってくれました。


新7合は休憩せずに進みました。途中から雲の中に。



前は見えず、登山道脇に張られたロープだけが頼りなのですが、そのロープもところどころないところが。
行きは気にならなかったのに、こうなると不安で仕方がありません。




「ほらすぐそこに駐車場が。5合に着いた」と思い嫁さんに言うと「車なんてない」と。


確かに6合についてないのに車があるわけがありません。その他にも、スノーモービルがあったり、外灯が見えたりしました。




途中霧の中で日没を迎えました。



まだ前が見えないほど暗くはありませんが、太陽が沈んだことで更に焦ります。「早く降りねば。。」しかし、足は思うように前に進まないのです。



6合についたのは、5時15分。5合の駐車場には、5時50分でした。

行きはあんなに近く感じたのに、帰りはとてつもなく長く感じました。




この登山は本当に反省だらけです。途中、動けなくなってもおかしくなかった。
ヘリコプターのお世話になってもおかしくなかった。

一番高い山で、山小屋もない季節で寒いのに、こんないい加減な準備で行き当たりばったりなことしていいわけありません。何とか自力で戻れたのは、幸運としか言えません。



最後に、1枚だけ、9合で撮った写真です。なんか鳥がいたので…

P1010033.jpg