GWに燕岳に行ってきた。
思えば、2年前。2015年9月8日~9日に燕岳にチャレンジしました。
初めての北アルプスで、準備も万端にし、ウキウキしていました。個室を予約したので何日も前から天気予報とにらめっこをして、一喜一憂していました。それが、登山日が近づくにつれ、やってきたのでした。
台風18号。。
弱いながらも、目を持つこの台風は、大量の雨雲を連れて日本を縦断する方向でやってきたのです。この日の15時のアメダスがこれ。
翌日は予報どおりに日本に上陸し
強い雨と風を降らせて
行ったわけですが、3,000m近い高山での台風直撃はなかなかのものでして、当然本来であれば息をのむらしい景色は全く見えないし、まさにこの写真が物語る登山でした。
疲労感も半端なく、風雨の様子からもとても山頂へのチャレンジは断念せざるを得なかったのです。
ところが今回は。
移動性高気圧にがっちりガードされ、
雨雲なし!
と言う私からすれば神がかり的な感じで登山を開始できたのでした。
今年のGW。1日と2日を休めれば9連休となる。幸運にも2日とも休むことができた私は、1日昼間に準備をして、すこしだけ仮眠を取ることもできた。そして、仕事を終えて帰宅した相方と自宅を出発。少しだけ買い物をしてからだったので、実質20時過ぎ頃だったかと思います。
安曇野SAで朝食を買い、1時間ほど仮眠を取りました。
今回は1日も午後には雨が上がっていたため、路面が濡れていると恐怖の県道327号線も車のヘッドライトに路面が照らされ道幅を把握でき、思ったよりすんなりと第一駐車場に停めることができました。到着は午前2時頃だったかと思います。空には満天の星空が見られ、晴れを約束してくれているようでした。
3時間ほど仮眠を車内で取りましたが、運転席ではどうも寝にくく、後部座席に潜り込んで何とか就寝。午前5時過ぎに起床。周りは既に起き出していました。
第一駐車場は満車になっていました。
寒いといけないので、ストーブでお湯を沸かし、サーモスに入れます。朝食は登山口で摂り、トイレもそこで済ませました。登山口の社で天気の維持と安全登山祈願をするなどしていたら、出発は6時30分を過ぎていました。
歩き出しから急登になるため、まずは意識してゆっくり登ります。まだ雪はありません。
少し登って行くとすぐにちらほら雪が出てきました。意外に速くできてた感じです。
思った通り結構暑い。体が水分を欲しがります。水が不足しているので第一ベンチの水場で汲もうと思っていました。
7時30分頃、第一ベンチ到着。この先ははっきり雪道っぽいので、アイゼンを装着。水場までは少し下る必要がありますが、その道ははっきり雪道になっていました。やや不安がよぎりましたが、的中、沢の水は流れているものの、水場は雪の下で使用できませんでした。これで水は500ccと熱湯400ccのみで、合戦小屋まで行かなければならなくなりました。あ、でも、合戦小屋って平日は今の時期閉まっているのでは…汗
ま、900ccあれば何とかなるだろうっていうことで、暑いしソフトシェルを脱ぎ、ベースウェアのみの格好に。
アイゼン装着の図。
やっぱりちょっとお腹が空いたので、朝ご飯の残りも頂きました。
さて、ここからは雪道ですが、朝寒かったせいか雪はある程度締まっていてアイゼンがよく効きます。
第一ベンチと第二ベンチは短く、気持すぐ着きます。第二ベンチ到着は8時30分頃。
あ、第二ベンチの林の裏に山がちらっと見えました。おおー!こんなところから何やら山が見えたんだ。2年前には考えられないことです。
そして9時15分過ぎ第三ベンチ到着。第二ベンチから第三ベンチまでは長かった。斜度も結構ありました。しかし、この先、第三ベンチから富士見ベンチまでが一番勾配がきついという。相方が相当ばててきていて、「無理しなくていいよ。諦めて帰ったっていいんだから」と声をかけますが、相方は「帰るなんてあり得ない」ときっぱり。強情なのです。
どんどん他の人に抜かれますが、時間的には燕山荘泊ですから全く問題なし。
10時20分頃、何とか富士見ベンチ到着。この道標の手前から富士山も見えましたよ。ちょっと春霞に霞んではいましたが。
さすがにここまで来ると、第一ベンチで林の隙間に見えた山々も次第にその姿を見せ始めます。
この頃になるとペットボトルの水はほとんど飲み干してしまい、サーモスのお湯だけ。しかし正直サーモスの高い保温能力のため、熱くて飲めない。笑
すれ違う人に「今日、合戦小屋開いてましたか?」と聞くと「飲み物だけなら」との答え。やったー!飲み物買える。
長い急登に疲れながらも、11時過ぎに念願の合戦小屋に到着。
コーラとポカリを購入。ちょびっと残った水とサーモスのお湯を冷やす。
11時40分出発。合戦小屋から見ると急登が見えます。写真ではあまり急に見えないけれど、本当は結構急。しかもかなり長い。冬道はここを直登します。ここから私はピッケルを使うことにしました。相方はまだストックで行くそうです。
相方、かなりへばっていますが、根性で登って行きます。具合が悪いわけではなく、ただ、疲れているらしい。
この急登を登って行くと森林限界を越えます。そして周囲の山々もその全容を表してくれます。
じゃーん。槍ヶ岳も見えます!「ほらほら槍ヶ岳が見えるよ!」と励ましても「えぇ?あれ、槍ヶ岳なの?ほんとに?」と。本当だと言っても、テンション上がらず。。
そこで、写真を撮ってもらって休ませることに。お腹のバックはカメラが、右のショルダーハーネスのポーチには行動食が入っております。左のショルダーハーネスにはアクションカムが取り付けられています。
「今度は背中側から撮ってくれ!」とリクエストし、撮ってもらいました。コンデジのため、完璧に露出がオーバーしてます。
合戦小屋からすぐの急登を登り終えても、いくつか小さいピークを越えます。疲れた体にはそれが厳しい。
この辺になると、赤旗1つ分歩いては止まり、また1つ分歩いては止まりの状況です。
燕山荘が見えてきましたが、ピークを1つと燕山荘直下の急登を越えないといけません。特に燕山荘直下の急登はラスボスのようです。
ラスボスは途中から階段になってくれました。でも、ラスボスってことで気合いが入ったのでそこまできつくはなかったかな。合戦小屋すぐの急登が一番きつかったかも。
夏道と違って、ほぼ一周する形で燕山荘の玄関に着きます。この一周が地味に長かった。でも、景色は最高だった。
槍ヶ岳がこんなに近く見えるんですね。
歩いたら遠いけど。
標準コースタイムを大幅に超えて13時20分、ようやく燕山荘の玄関に着きました。
玄関前の山男。ただいま!また来れたよ!って感じです。
そして燕岳。2年前は燕山荘からでもほぼその姿を拝めることができなかった…。
感無量です。
さて、昼ご飯も食べていないし、まずはチェックインしないと。今回は相部屋です。さて、どんな感じかなあ。
新館の3階を案内され、部屋はこんな感じでした。3畳で区切られていて廊下側はカーテン。敷き布団は3組で、掛け布団は6組。新館は施設全般新しく、トイレは綺麗な洋式トイレ。冬期ゆえ流しの水は出ず、手の消毒用アルコールが置いてありました(女子トイレは手洗いのみの水は出たとのこと)。
チェックインしたときには、まだ私ら2人だけ。2人で寝ると敷き布団1つずつ使え、1畳分荷物を置ける。誰も来ないといいなあ。今日平日だしなあ。
昼食は14時までのため、急いで食道へ。ビーフシチューを頂きました。美味しかった。肉も。相方もビーフシチューとケーキを食べていました。元気になったみたい。
とは言え、山頂までは厳しそうなので、登頂は明日にすることにしました。天気は明日も大丈夫だと思うのですが、ちょっぴり2年前のことを考え、「もし、明日天気が悪かったら」と思ってしまいます。
食事の後、ちょっとそこらを散歩しようと言い、外に。イワヒバリがこんなに近くに。
燕山荘近くの奇岩。これもイルカに見えないこともない。
おお、頂上にあんなに人が。。これは明日朝登頂の方がやっぱり良さそうです。
テン場から燕山荘を。風格もあり、かわいい山小屋です。
夕食は17時30分から。日没は18時30分頃とのことです。
まずは夕食。ハンバーグと赤魚の切り身。杏仁豆腐とあと何かありました。取りあえずご飯は一杯にして、アーベントロートの撮影に向かいます。
風景がセピア色に変わっていき
陽は沈んで行きました。
あまり赤くはなりませんでしたが
皆さん静かに魅入ってました。
さて、陽も沈んだことだし、今度は赤沼社長のお話を聞きに再び食堂へ。
色々な話を聞けました。何か人柄がにじみ出る感じだったなあ。そして、「今の時期は音が出ないんですよねえ。。」とやや渋りながらもみんなのリクエストに応じてホルンの演奏もしてくれました。
思ったような音が出ずに、ちょっとがっかり顔の赤沼さんですが、いい音でしたよ、初めて聞けたし。大きな音がするものですね。ありがとうございました!
赤沼さんの演奏が終わり、解散となったところで、一旦部屋に戻り、今度は星景写真を撮りにミニ三脚を持って再び外へ。
最初は、ISO3200の25秒、Fは解放。
うわー、シャッターが開いているときに前を人が通る通る。
ちょっと明るすぎだな。月が出ているし。月でピントは合わせられた。
今度はISOを1600にしてみる。
まだ明るいかな。ISO1600で15秒にしてみる。そして真上を写してみる。
まだ明るいけど、今日はこんなものかな。と何枚か撮ったのですが、どうもフォーカスリングが回って今ってピントがずれていたらしく、これも含めて失敗だらけに。
と、まあ、ピントの件は帰宅して拡大してみて初めて分かったので、この時には十分満足して部屋に戻りました、、。
あ、そうそう、部屋にはそれから追加の宿泊客は来ず、私と相方だけで3畳使え、プチ個室状態でした。超ラッキーでした。
部屋に戻ると既に20時30分近く。それから20分で翌日の支度とヘッドライトを置いておく、一応耳栓を用意する等の就寝準備をしました。そして21時に強制消灯です。
消灯したのは分かっていましたが、それからすぐに寝てしまったようで、トイレにも起きずに起きたのは4時30分でした。
日の出が5時、朝食が5時15分です。さっそくモルゲンロート撮影の準備を持って外に出かけます。
おお、明けだしている。外はライトがなくても足下も見えます。ただ、足下が燕山荘サンダルだ。。指先がさすがに冷たい。そのため一度戻って登山靴に履き替えました。
ベストポジションが靴を履き替えているうちに取られてしまいましたが、ま、気にしない。
ほらほら、出てきましたよ。御来光です。
綺麗にでてくれました。今日もいい天気になりそう。
燕山荘もそれなりに赤く染まり
みんなも御来光に魅入っていました。
燕岳も
槍ヶ岳も小モルゲンロートで朝を迎えました。
振り返ると結構人がいました。
その後すぐに朝食を取り、部屋に戻ってチェックアウト。ザックをデポしてもらえますか、と小屋番さんに聞くと、2階のザック棚に置いてくれれば、ということだったのでザック棚に置いてデポし、ピッケルとアイゼンとカメラ類だけもって、6時30分頃山頂へ。
昨日とは違って軽快に歩きます。
イルカ岩は結構すぐそば。登山道から少し右の斜面を上がるとベストポジション。
登山道からだとこんな感じ。
登山道に雪はあるところもあれば
ないところも。朝で雪が締まっていたので、そこそこ歩きやすいけれど、前日緩んだプチつぼ足がそのまま固まっている。
相方は段々疲れてきたみたいです。着すぎだったんじゃ。。
眼鏡岩。下に看板があり、それで眼鏡岩と分かりますが、普通に見ても眼鏡には見えません。
意外とアップダウンがあります。
急登を登りきれば
7時10分、登頂です。登山客は私ら以外には4人だけ。ゆっくり写真を撮ることもできました。
もっと帽子を深く被るべきだった。
それでは山頂からの景色を。
素晴らしいです!ちょっとだけ雲が出てきていましたが、遠くまでよく見渡せたし。富士山も見えましたし。
ほんとの燕岳が経験できて本当によかったなあ。。
名残惜しいけれど、帰ろうか。と、7時30分頃、燕山荘まで戻ります。途中雷鳥がいないか探したのですが見つかりませんでした。そう言えば赤沼社長が「最近、登山者の食べ残しを狙ってカラスが山頂まで飛んでくる。カラスは雷鳥も襲う。そのため燕山荘付近に雷鳥が見られなくなってきている。人が食べ残しを放置するということも餌付けなのだということを知って欲しい」というようなお話をされていました。
私だけ燕山荘内に戻り、二人のデポしたザックと乾燥室に置いてあったスパッツを取って外に出たのですが、私のスパッツの片方がない。。ザックをデポしたとき、「ストックがない。。。盗られたんだ。。」とがっくりしていた妙齢の御婦人を思い出す。
代わって相方が燕山荘内に戻って探してくれたのですが、なく、私も外のベンチでがっくりしていたところ、隣のベンチの足下に私のスパッツが。どうやら風で1つ飛んで行ったらしい。。。すみませんすみませんすみません。
というような騒動もあり、大幅に燕山荘を出るのが8時30分近くと遅くなりましたし、さすがGW後半戦開始の3日だけあって、登ってくる人がめちゃくちゃ多かったです。すれ違いができずに、登り優先で譲っていたのですが、いつまでもそうしていると登山者が切れず、下りられないので、山側を選んで、やや道を外れて下りていました。
アイゼンは第二ベンチで外したのですが、結果的には失敗。第二ベンチと第一ベンチの間で大転倒し、以降怖くてペースもダウンとなりました。でも、それでも13時過ぎに無事に登山口に到着できたので何よりです。
お社に手を合わせて全てに感謝し、二人で記念撮影。
、
前回は、雨に打たれて冷え切ってふらふらになって中房温泉に入り、出てきたときに同じように撮ったっけ。
なんか元気さが全然違います。
日焼けもしましたし。
と、帰りは、今回は中房温泉ではなく、有明温泉に入って東京の実家の方に帰宅しました。今回も疲れて脚が数日間ひどい筋肉痛になったのですが、今回の山行は本当に良かったです。ありがとうございました。感謝です。
カメラバッグ パーゴワークス フォーカス
以前は、登山中のカメラの携行としては、ザックにぶら下げるストラップを使用していた。
このタイプは片方がホックに、片方がバックルになっているタイプで、ザックのショルダー部分にあるD環にTKストラップのホックをくぐらせて取り付け、方やカメラのストラップにバックルのメスを取り付けて使用する。
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